◆相互関係の事情◆


修理室を設けた格納庫の一角。
先程の度を越した「手合わせ」の後始末として、当事者二人は修理ベットに拘束されえいた。

アイアンハイドにはラチェットが付いている。
鼻息(?)荒く、ムスーっと蒸気を吐き出す顔を、ベシっと叩くラチェット。
「まったく、少しは自重したらどうだ」
「軽いトレーニングじゃねえか」
「この星では、充分重い。周りの被害を考えろ」
「いででででっ!。外装修理だけで何でこんなに痛てんだよラチェット」
「痛くしているからだろう」
「ちょ!待て!。その手に持ってる電気ショックは何だ!?」
「はははは。我慢しろよ、ちょっとくすぐったいぞ」
ラチェットの爽やかな笑い声の後に、アイアンハイドの哀れな悲鳴が響く。

そんな騒がしい修理ベットの隣では、もう一組が同じように修理をしていた。
サイドスワイプは隣のベットで繰り広げられているイチャイチャぶりに、内心心穏やかではない。
「俺の師匠になんて真似しやがる、あのエロ医者…」
「はい、よそ見しないで下さいね」
「(ぐきっ!)うぉおおうっ!。首!首のジョイントがグキッて言ったぞオイ!」
「はいはい、静かにしていないと、首以外もグキッて言いますよ」
手つきと言葉は丁寧で穏やかなジョルトは、それでも有無を言わさぬ強引さでサイドスワイプを修理ベットに貼り付ける。
それでもめげずに、ブツブツ言っては隣の二人の様子を伺うサイドスワイプ。
隙有らば飛び出して行きそうな気配さえ見せる、そんな彼に対してジョルトも内心穏やかではない。

自分にとっても、敬愛する指導者であるラチェットがアイアンハイドと一線を越える仲になっている様子を目の当たりするのは、何と言うか、悶々とする感情が沸き起こるわけで。
そして、目の前で自分と同じように悶々とした感情を隠そうともしないサイドスワイプに、理不尽と判っていても当たらずにはいられない。
「いでででで!。ジョルト!お前それ本当にリペアしてんのかよ!すげー痛いぞ!」
「おや。痛いだけで済んで良かったですねー」
「ジョルト!てめー!」
台詞の棒読みの如くしれっと言うジョルトに、サイドズワイプが身を起こして反撃しようとした瞬間。
「うぐっ?!」
近い。ジョルトの顔が近い。
それどころか、お互いの顔の何処かがぶつかった。
更に、ぶつかったまま離れない。触れたままの顔の部分は…。
「・・・」
「・・・」
ようやく離れた二人は、お互い無言。

「あー…、その。ワリィ」
サイドスワイプはバツが悪そうに謝罪する。何が起きたかは敢えて言葉にはせずに。
「いえ、気にしないで下さい」
ジョルトも笑顔で受け流す。何が起きたかは判っている上で気にしないように言う。
「愛しの師匠じゃなくて、残念でしたね」
「ばっ!!。そんなんじゃねぇ!!!」
「おや?。何時もそんな顔してあの人を見ているじゃないですか」
「そんな顔って!、どんな顔って!」
「はははは。そんな動揺しなくたって。誰にも言いませんよ?、サイドスワイプがアイアンハイドの惚れtr」
「わーーーーっ!。言うなそれ以上声に出して言うな!。つかなんで知ってんだお前!!」
あまりの事実に動揺したサイドスワイプが、思わずジョルトに詰め寄る。
再び、顔が近い二人。
「それは、自分も君の事を見ていますから」
「あぁ?」
不意を突かれた返事に、サイドスワイプが呆けた表情を見せた。
ニッコリと。ジョルトが笑う。

先程までの悶々とした感情は、紆余曲折してはこんな形で表現される。

一方通行のこの感情は、何時か何処かで方向が変わる。
それまでは、同じ不毛な感情を抱くもの同志。

「はい、よそ見しないで下さいね」
「(ぐきっ!)うぉおおうっ!。首!首のジョイントがグキッて言ったぞオイ!」

行く末を、これからも変わらずに見続けてゆく。



<おわり>


ジョルト×スワイプの初キッスでした。
でもメインはアイラチェの夫婦漫才…。うん映画のラチェさんは初代とは違うベクトルで漢妻だと思う。それこそガチじゃん。映画のアイさんは乙男だと思う。だって歯の妖精さんw。

あ、青い子と銀色のアホの子の話ですね(何気にスワイプがアホの子認定)。
スワイプはアイさんを尊敬し過ぎて「師匠にだったら抱かれてもいいv」とか本気で思ってる痛い子で、そんなスワイプを「面白い子」として観察しているうちに、そのアホの子ぶりについ情が沸いてしまったジョルトも、多分相当痛い子の部類に入ると思われます。だってラチェさんの弟子だしねぇ。

ジョルトも最初はラチェさんに惚れてたと思われ。でもアイさんとの関係に気付いて身を引いた過去。ジョルトの初体験の相手はラチェさん。そんな自分妄想設定。
また不憫なキャラが出来てしまった、それが自分クオリティ。