★ほろ酔い気分で連れてって★

普段から酒を手放さない「うわばみ」にとって、仲間が盛り上がっている酒の席は実に居心地が良いもの。
仮にも医者でありながら、酒に関しては寛大と言うか…それ以前の問題だが、他人に飲ませるのが楽しいラチェットは、酒を片手に仲間たちの間を渡り歩いていた。

「ホイルジャックっ!」
「げっ!来たっ!」
酒にはもっぽう弱いホイルジャックは、天敵に見付かったとばかりに退散しようとしたものの、とても酔っているとは思えないラチェットの俊敏な動きにあっさり掴まってしまう。
「ホイルジャックぅ、酒の席でタバコを吸ったら酒が不味くなるだろうぅ?ん〜?」
「そりゃお前さんだけだっ!。えぇい離さんかいこの酔っ払いっ!」
「私が酔う訳無いだろぉ〜ぅ。ホイルジャックぅ、タバコより酒の方が身体に良いんだぞぉ」
「工業用メタノールを飲んでも平気なお前さんと一緒にするな…」
「幾ら私でもそれまで飲まないよぉ、せいぜい医療用エタノールくらいかなぁ」
「飲んでるのかいっ?!」
逃がさんとばかりに首に腕を廻し、しっかり捕まえているラチェットは、ホイルジャックの手からタバコを取り上げると、酒の入ったグラスを押し付けた。
「さぁ!私が注いであげよう!」
「要らん!」
「……飲みなさい」
「…はい…」
只でさえ最強と噂されるラチェットに酒が入れば、もう誰も太刀打ちできない。
ホイルジャックは渋々とグラスに口をつけた。

それからものの数分後…。
「…ぅ〜、具合悪い…」
「もう酔ったのかい?、まだ一口しか飲んでないだろう」
「だ〜か〜ら〜、我輩は飲めんのだと…ぅぅ〜」
ホイルジャックは真っ赤な顔で、ぐったりとしてしまった。
「仕方が無いなぁ、よしっ!」
いきなり立ち上がったラチェットは、そのままホイルジャックを抱き上げた。
さしずめ「姫抱っこ」。
「医務室で介抱してあげよう!」
「ちょっと待てっ!」
酔っている事を微塵も感じさせないラチェットの力強さ、成す術も無く抱えられて運ばれてしまうホイルジャック。
「さぁさぁ皆、退いて退いて、急患が通るよぉ」
「下ろしてくれぃ!、もう醒めたっ!酔っていないからっ!」
「ダメだよ。医者を信じなさい」
「その医者が飲ませたんだろうがっ!…ぅうぅ…っ」
その場に居た一同は手を貸す事無く、黙って二人を見送った。

次の日の朝、すっかりヤラレ気味なホイルジャックに対し、ラチェットは何時ものように何食わぬ顔で仕事に就いていた。


元はと言えば「メモリーバックアップ」で擬人化絵設定で盛り上がったお酒ネタが発端。
ホイルジャックはヘビースモーカーでお酒は下戸な45歳。
ラチェットはタバコ有害主張派でお酒はうわばみ35歳。
お互いを禁煙しろとか禁酒しろとか言い合ってる仲が宜しいかとv。

ラチェットさんとホイルジャックさん。ザルと下戸、そんな二人の酒の席。
ラチェホイ酒の過ち編でした。
まずは……ラチェさんファンの方々スミマセンorz。
すっかり変な人に成ってしまいました。だってあの人最強だから。
ホイルジャックが連れて行かれた医務室…、つまりラチェさんの部屋。お持ち帰りされました。
その後二人がどうなったかは、皆様それぞれご自由にご想像ください。次の日のホイルジャックが全て物語っていると思いますが、あえてツッコミません地雷踏みそうだからっ。

もうさっさと逃げますハイ。

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